勝手に抱かれた期待でも裏切るな
今日はタロットサイトのトップページの飾り方についての話をしました。
提示されたのはこんなデザイン。
このサイトの趣旨が気軽にタロット占いを楽しんでもらいたいということで、各要素を動かすことで楽しさを演出したい。動くと気になってクリックしてくれるかも、というもの。
楽しさの演出として動かすという手法は、微妙なところですがとりあえずOKとしました。
微妙なところというのはユーザーにとって期待外れになる気がしたからです。
動かすということは存在をアピールすることになります。「私を見て」という感じ。
アピールすればするほどユーザー側の期待のハードルは勝手に上がります。
街頭でレッドブルカーみたいな配布イベントやってたら、なんかすごいものを期待しますよね。
なのに、ただの水とかお茶とか渡されたら「は?」ってなりますよね。
このサイトがそのパターンになりそうな気がしたんです。
1画面内で5個も要素が動くって結構なアピールレベルなんですが、クリックして分かるものは占いメニューのジャンル導線だったりします。スクロールすれば普通に見れるものを要素動かしてまでアピールする必要ないですよね。
なんなら同じ画面内にあるグローバルメニューでそれ完結してるし。
もちろんスクロールすれば分かるから不要というのもユーザビリティの考え方ではNGです。どこからくるのが一番スムーズかはユーザーによって違うので、どんな要求にも応えられるように、様々なところに張るのが正しい。ただし、存在感が前に出すぎるといたるところに貼られた広告のようにウザいものでしかないので、存在は控えめにしながら必要なときにすぐそこにあるのが理想です。
あと、1つの要素に「動きが楽しい」役割と「クリックして何か得られる」という2つの役割をもたせることにも抵抗を感じます。詰め込みすぎて混乱します。クリックすると動いて何か得られる、というふうに2つの役割がなじんでいればいいんですが、今回の場合、それぞれが独立してしまってるので。
そもそもクリックできるように見えないという問題もあります。クリックできると思わずに意図せず押してしまったときなどもはや騙し広告と同レベルでストレスしかありません。
クリックできることがわかるように要素に吹き出しをつけるという案も合わせて提案されましたが、ただでさえギリギリのうるささのこの画面に吹き出しとかつけたらもうカオスでしょう。
そんなにガチャガチャ動いてるのエロサイトぐらいですよ。
これ単品で見たらいいんですけど、これが1画面内に5つ配置されたことを想像しないと。
あと、楽しさを感じてもらうために動きと音に頼るっていう発想ってあまりに単純なんですよね。
それが絶対間違いとは言いませんが、とりあえず動かしとけ、とりあえず音出しとけって制作者の自己満でしかないです。ユーザーはこっちが思っている以上に凄く冷静に客観的に見てます。
ユーザーは基本的にネガティブな方から入ります。
浅い考えで動かしたり音を出したりすれば鬱陶しい、電車の中や静かな場所で見てる自分のことへの配慮がないとクソミソにディスられて終わりです。
どんな見方をしてもデメリットがない、またはデメリットよりメリットが上回るときだけ好意的にとらえてくれます。
今回の要素を動かすという手法はそこまで深く考えずにやってしまっているように感じ、「微妙」と判断しました。
あと気になったのは要素の配置。
ランダムに配置するデザインはいいんですが、問題はヤシの木。
キレイに中央に配置されてますよね。
中央に配置されたもの=重要なもの、サイトの中心となるもの
とユーザーは勝手に認識します。
このサイトのテーマはタロットであり、ヤシの木ではありません。
でもユーザーはヤシの木がテーマだと思う。その先入観のままサイトを見ていくとヤシの木はたいして重要じゃなかったことがわかる。
このときユーザーには強いストレスが生まれます。
勘違いした時間と手間、理解し直す時間と手間を返して、と思うのです。
以上のことから出した結論は
- 動かすのは一応OK
- クリックさせるならもっとここでクリックさせる意義を考える
- ヤシの木は中央に置かない
です。
この話のあと、
「1個だけ当たりのあるミニゲームにするのは?」との提案がありました。
これはいいかもと思いました。
その画面内で完結する気軽さ、このサイトに来たときにとりあえずちょっとやっとこぐらいのノリでできる気軽さ、1回目で当たれば今日は大吉、みたいにすればなんかいい気分になりそうですよね。僕は占い全く興味ないので実際どうなのかわかりませんが…それについては考えても答え出ないのでやってみて結果検証するしかないです。
今日はそんなことを話しました。